数名しか入れなかった小さな砂場をリニューアル、10人程度が遊べる大きさに拡大し、八角形の木の枠がある理想的な空間になりました。業者と何度も相談し、暗渠と透水シートでしっかり排水できるようにして砂をたっぷり入れました。
砂場の周りには葉・花・実をとれる植物、机や椅子などがうまく配置され、道具の棚にはたくさんの道具が揃えてあり、遊びの幅を広げる工夫が随所に見られます。スコップは子どもが扱いやすいサイズに変更、木ごてやふるい、大きなたらいやバケツ、植木鉢をくり抜いてつくった型など、様々な道具が遊び心をくすぐります。
環境改善の後、1歳から就学前までの子どもたちが一緒に遊んでいます。砂を器に移して黙々と一人遊びをしたり、皆で山やお城など様々なかたちをつくったり、砂だんごを上手につくる工夫を重ねたり、土俵に見立てて相撲をとったり。大きな子がやっているのを見て、小さな子はその姿に憧れ、自分も挑戦してみようとします。それぞれが集中して遊び込み、刺激しあえる環境になっています。
ふかふかの砂に座り込んだり、砂が気持ちいいのか、子どもたちは裸足になるそうです。砂場を変えたことでここまで園児の動きや遊び方が変化するとは想像できなかった、と園長先生も驚いたとのこと。園に関わる人全てが改めて砂場の魅力を発見し、共感しあい、楽しめているそうです。
全身を使って五感で感じ、自ら反応していく子どもたち。水量を調節して砂の状態を確かめながらかたちをつくること、時間をかけてつくりあげた作品を親に見せて説明すること、造形活動の質も高まっています。
保育者の意識も高まっています。発達段階に合わせてどのような砂遊びが展開できるか、環境を通して子どもの育ちをどう支えていくか、専門家やNPOの研修を受け、意欲的に学んで実践しています。道具等の導入だけでなく、足を洗える場所、ホワイトサンドの室内砂場も新たにつくりました。
本物にふれて豊かな感性を育み“ぴかぴか光る子ども”に育ってほしいという園の方針のもと、砂場は特色ある保育のひとつとして文化になり始めているそうです。園長先生がお話してくれた子どもたちのエピソードからは、物語が感じられました。
11月には保護者にも砂場遊びを体験してもらい、その魅力を知ってもらうイベントを開催予定とのこと。園での日々の取り組みを実際に見てもらい、子どもの姿や成長を伝えていく場にもなります。
ひかりの子保育園では、砂場を起点に、もの・こと・ひとの新しい多様なつながりが生まれつつあるようです。