広々とした園庭に約30mもある小川をつくりました。上流はカスケードのように段々の構造で水がたまると下に落ちていく構造に、中流から下流は緩い勾配で浅い水の流れとなっています。水源は井戸水です。
保護者の協力で集めた大小の石を配置し、洗い出しの小石やキラキラしたおはじきを埋め込んだデザイン。切り株状の飛び石もランダムに配置されています。円形のカスケードの淵には、卒業制作として小川づくりに参加した園児の手形が残っています。
子どもたちは裸足で水に入り、道具を使って水を汲んだり、せき止めたり、思い思いに遊んでいるそうです。また、砂場に水を運んだり、水辺に隣り合う畑のミニトマトを洗って食べたり、園庭の他のゾーンも含めた遊びへと広がりが出てきました。
小川の上流は幼児部の園舎に近く、下流は0~2歳の園児の園舎に近いため、外遊びの時間になると異年齢が出会う、交流の場に。お兄さん、お姉さんが小さい子に教えたり、小さい子が真似をしたりと自然に関わり合いが生まれます。
寒い時でも水辺は子どもたちを惹きつけるようです。小川ができて、外遊びの時間が増えました。また、水を運ぶにはどういう方法がいいか、舟を上手に流すにはどうしたらいいか、トンボがお尻を水につけているのは何故かを調べたりと、遊びの中で、自分たちで考えること、工夫を重ねることや新しい発見も増えました。
子どもたちの遊びの変化を受けて、保育者の意識も高まったそうです。水辺の傍の木に天幕をはってキャンプごっこをしたり、水辺に集まる虫と自然との関わりや観察など、小川を中心に環境を利用した保育計画を立て、園児の興味を促す方法を考えるようになりました。
園庭の改善によって遊びの可能性が広がり、保育者も子どもとともに遊び方を学び、成長に気づく機会になっています。約束事は年長さんと相談して決める、自由な遊びを見守るといった姿勢は、子どもの主体性を育むでしょう。保育者の効果的な問いかけは、子どもの興味・関心や行動を広げる動機付けとなります。
園長先生は、現代は山川がある田舎でも、そこで遊ぶ子どもの姿は殆ど見られない、だからこそ、北会津の自然が体験できる園庭にしていきたいそうです。いのちの循環が感じられる、風景の記憶が心に残るような場になっていくとよいですね。