当初案は水辺のビオトープ First Plan
最初の計画は井戸を掘って園庭の一番奥、園舎から30m離れたところに池のビオトープをつくるというものでした。
こども環境学会のアドバイス Advice
当初案については、園庭研究所代表 石田佳織先生、日本生態系協会教育センター長 田邊龍太先生から次のような意見をいただきました。
- 設置場所は園舎に近い所がよい
- 落ち葉が池で腐るので林から離した方がよい
- ビオトープは水辺のビオトープだけでなく、草原のビオトープ、樹林のビオトープでも虫や自然を呼び込める
- 田んぼを一年中使えるようにして田んぼのビオトープでもいい。田んぼの横に水路を引く「江」というのもある
実は、どんぐり山こども園には田んぼがあるのですが、東日本大震災の後は一日で水が抜けるようになったので、これも改善したいという思いが園にありました。
また、除染で土を入れ替えたせいか、土がやせ、3年育てたレンギョウも小さいままで、木の根っこが露出するなどの問題もなんとかしたいと思っていたました。
先生方からは、まず土づくりからはじめて、時間をかけて林床を改善し、田んぼと合わせて全体をビオトープにする「ビオトープの中の保育園」の提案がありました。
田んぼのビオトープ Second Plan
「ビオトープの中の保育園」の提案に感化され、高木園長はじめ、どんぐり山こども園のみなさんは、まず「田んぼのビオトープ」をつくり、樹林は時間をかけて自分たちで土づくりをすることにし、首都圏の造園会社と設計案を固めました。その結果がこれです。最高のプランですが、お値段は1千万円で、理事会を通るはずもありませんでした。
改めて田んぼづくり Third Plan
気を取り直し、県農林事務所と地元土地改良区に田んぼづくりの実績ある地元の会社を紹介していただき、約100万円でシンプルな田んぼビオトープの設計をつくりました。完成は田植えの時期、5月を予定しています。
田植え終了! Third Plan
2021年6月に再訪すると田植えが終了していました。畔にはシロツメクサが茂り田んぼにはカエルと無数のアメンボが定住していました。田んぼの横に移植されたレンギョウは3年の苦行を乗り越えて生き生きと再生し、水のせいか傍らの木々も元気を取り戻していました。田のまわりには「江」もあります。空間放射線量計は近々撤去される予定です。
土づくりは時間をかけて
さて、樹林のビオトープの方は、時間をかけて落ち葉や刈った草を溜め、子どもたちや保護者のみなさんの力も借りて、ゆっくり進めることにしました。田んぼから一番遠いところの木が枯れそうになって元気がないので、まずはこの木の回りに囲いをつくって栄養のある土を入れようと考えています。
絵本で学びながら土づくり
こども環境学会の小澤先生や園庭研究所の石田先生からは、「どういう風に土の環境を良くしていくといいのか、子どもと一緒に絵本で勉強しながら、土の改良に取り組むといい」「土づくりから、虫や微生物の役割、食とのつながりを子どもたちと一緒に学ぶのがいい」とのアドバイスがありました(→土に関する絵本をまとめたページ)。
土づくりのアイデア
ー 近隣の草刈の草を積む
ー 落ち葉を集めてたい肥に
ー 表土流出を不要木材で土留め
ー 数本でいいので樹木の根本を木材等で囲んで栄養ある土を堆積
日本生態系協会の田邊先生の草はらビオトープのお話も参考になります。