当初案は御影石風の池 First Plan
当初案は既製品で池をつくるというもの。ちなみに既製品のお値段は20万円ほど。
こども環境学会のアドバイス1 Advice 1
10月31日(土)、青木園長が県の担当者とともにZoom会議で子ども環境学会の先生方と相談をしました。
- 日本生態系協会教育センター長 田邊龍太先生
- 園庭研究所代表 石田佳織先生
- こども環境学会理事 小澤紀美子先生
- 帝京大学講師 谷本都栄先生
園の相談内容
当初の園独自の予定では安全性を重視し、池の手前には入り口をつけ、周りにフェンスを張り大きな池を作る予定で計画しました。その他、下記の点についても相談しました。
- 排水の際、魚が水と一緒に池から出て行ってしまわないか、排水をどのようにしたらよいか
- 池の中で生き物を放した場合の共喰いの心配など、
- 夏にはハクビシンやイタチが来るのでその対応はどうしたらよいか
- 池の安全性について
- 水草はどのような物を用意すればよいか
アドバイス1をいただきました
- 計画書を見るとビオトープの設置場所が、安全管理の面から園舎の横のフェンスの扉を開けて出入りするようになっているが、先生の目が届かずかえって危険ではないか。園庭の誰もが見えるところで、子どもがもっと自由に行ける場所が良いのではないか。→設置場所の変更
- 大きな池でなかったら、安全面はそんなに心配しなくても大丈夫。小さな水槽で水深も浅いものが良い。段差をつけてもよいのでは。
- 最初から大きなものを作るというのではなく、小さな物から増やしていくという考え方もある。
- 最初から完璧なビオトープを作るというより、子ども達も参加してみんなで作っていくプロセスを大事にすると良い。
- 最初から全ての池に生き物を放さなくても、水だけはった池を置いておいて何が来るのか放置してみるのもよい。
- 排水は必ずしも下からではなくオーバーフローという形もある。
こども環境学会のアドバイス2 Advice 2
11月21日(土)、青木園長が子ども環境学会の先生方と2度めの相談をしました。
- NPO法人市民まちづくり会議・むさしの理事、副代表 村井寿夫先生
- こども環境学会理事 小澤紀美子先生
アドバイス2でいただいたこと
- 小さな水槽を段差をつけて、3段くらいにして、大きな魚(ふな)小さな魚(めだか)その他オタマジャクシなど別々に入れオーバーフローで水を下の池に落とし、最後が排水にするという方法が扱いやすい。
- 池には陽が当たらないといけないが、夏になって蒸発しすぎてもいけないので、日影も必要。
- 最初から大掛かりにやるのではなく、小さな池からやってみては。
こども環境学会のアドバイス3 Advice 3
アドバイス3で得たアイデア
- ビオトープを作るだけでなく、周りに、シロツメクサの種を植え、草原を作り、虫や蛙がビオトープの周りに生息しやすい環境を作る。
- 丸太を利用してビオトープの周りの自然環境を整備する
- なるべく自然に近い環境つくりをする
ビオトープ設置作業
2月6日(土)、保護者ボランティアによる整地とクローバー畑の杭打ち
2月10日(水)、保護者ボランティアと園児によるビオトープ設置
2月11日(木) ビオトープには、いつも子ども達の姿が・・・
学校法人志賀学
久之浜こども園
令和3年2月26日
園庭の花壇やプランターにチューリップの芽が顔を出しました。
園全体が温かい雰囲気に包まれて、春がそこまで来ていることを感じます。
新しく設置されたビオトープの池に、子ども達が浜辺から石を拾って来て陸地を作りました。池は三段になっていて一番上の池にはフナとウグイ、二番目の池にはメダカを放しました。目の周りが黒いパンダメダカもいます。一番下の池には、オタマジャクシを取ってきて蛙になるまで育てる予定です。池の周りにはシロツメクサの種を蒔きました。
早くクローバーが出てこないかと待ち遠しいです。水源は水道水を溜めカルキ抜きをした水を、アンパンマンのポンプでくみ上げます。また、雨が降ると雨樋からコキンちゃんの丸太の水路を伝わって雨水が自然に流れ込む仕掛けになっています。ビオトープが出来るまで、こども環境学会の先生方にご指導を受けながら、子ども達と共に作っていくプロセスを楽しむことが出来ました。ビオトープが完成すると子ども達は気になる様子で「魚が餌を食べた!」とか「パンダメダカみつけた!」などの声が聞かれます。先日はさっそく七星テントウムシが水辺の草の上に来ていました。
園庭のほんの一部ですが、自然に虫たちが集まり住処になり、子ども達が今までより多くの生き物に触れあい「なぜ?」「どうして?」「不思議!」の気づく機会が増えるよう活用していきたいと思っています。
事業実施前と実施後の子どもの様子
今年度はじめ、園児はコロナ禍の中、園外保育に出かけることもできず、小動物に触れるのは、園内にある水槽の魚とオタマジャクシが蛙に孵る様子を、観察するだけの状況でした。
この事業があることを知り、園庭にビオトープを作りたいと考え取り組みました。こども環境学会の先生方のご指導を受け、子ども達と一緒にビオトープ作りに取り組めたことが、何事にも代えがたい体験でした。
最初の計画では、専門業者さんにビオトープ設置を依頼するように考えていましたが、環境学会の先生方のアドバイスを受け、園児が関わってビオトープを作るところからスタートしました。そのせいか、園生活の中で、園児のビオトープに向ける関心が深まり、「テントウムシが来たよ!」「オタマジャクシの卵が孵った!」「クローバーの葉っぱが出てきたから、踏まないようにしよう!」など、虫や草花への気づきが多くみられるようになりました。良いことばかりではなくフナが1匹死んでしまった時は、子ども達が大騒ぎになり、悲しい思いもしました。
先生から生き物には寿命がある話を聞き、一緒に埋葬することで、子ども達の気持ちにも折り合いをつける経験もしました。ビオトープが出来たことで自然との関わりも増え、虫や魚、小動物や草花への興味関心が子ども達の中に広がってきています。