すくすく園は会津若松市の住宅街の中にあります。園長さんの悩みは、園地が借地であるため自由に大きな投資ができないこと、園庭が狭く殺風景なことでした。子どもたちの遊びを豊かなものにするため、2つの改善を計画しました。
当初の改修イメージ First Plan
園庭には40年前の設立当初からある六角形の登り棒があります。園の希望は、これに木製のクライミングウォールやロープをつけて、子どもたちの遊びの幅を広げたい、というものでした。また、これとは別に遊びの小道具として幅15cmくらいの板を10枚くらい購入して、既存の古タイヤなどと組み合わせて子どもたちが自分で遊びをつくれるようにしたいという希望がありました。
子ども環境学会のアドバイス Advice
すくすく園の谷川先生を囲んで、帝京大学の谷本都栄先生の司会で改善計画について検討しました。アドバイザーは福井工業大学の藤田大輔先生、NPO法人市民まちづくり会議むさしの理事の村井寿夫さん、こども環境学会理事の小澤紀美子先生でした。
登り棒の改修については、
- 木は材質の耐久性と安全性(柔らかさ)を考えて選ぶ。地場材なら桧など。
- 木製遊具はささくれができるので、定期的なメンテナンスに留意
- ボルダリングのホールドは、子どもが落ちたときに引っかからないように、下に設置するものは小さくする
- 木製の板の隙間は「魔の15cm」に注意。挟まり事故が起きやすい。
- ロープを使う場合は、その端をぶら下げると事故が起きやすいので、ロープの端は遊具に固定する。ロープの代わりにネットを使う手もある。
- 鉄の棒は地際(鉄が地面に接するところ)の腐食がないかよく点検し、塗装をしっかり維持する
- 周辺にある鉄棒、雲梯、別の木製遊具との動線を考え、流れができるようにする
- できれば園庭に高低差があるといい
遊びの小道具で板を購入することについては
- 丸太と組み合わせて、不安定な運動体験ができるようにするとよい
などのアドバイスをいただきました。
改修後 After
六角形の登り棒を板で囲いました。
5段の螺旋階段の一段一段が小さな部屋のようになっていて、異なった視点で外を見ることができます。
6つの面のひとつにネットを張りました。登って最上階の小部屋に入り込むことができます。
クライミングウォールから最上階の小部屋に入ることもできます。
小さな空間は安らぎであったり、わくわくであったり。
遊びの小道具・・・板と丸太
木製の板と丸太を半分に切ったもので子どもたちが思い思いの遊びを作り出しています。
狭い園庭ですが、小さな野菜畑や花壇で子どもたちに生き物に触れる機会をつくっています。
遊び終わったら、お片付け。短い時間でも、園庭が狭くても、いろんな遊びがありました。