市街地郊外の交通量の多い幹線道路沿いの住宅地に立地する園で、狭い園庭内で3歳未満のお子さんと3歳以上のお子さんの遊び時間や活動時間を分けて保育を行っている園です。園庭内では自然を感じられる場もないので、徒歩で20分もかけて公園への散策を行っています。交通量の多い道を歩いて出かけ、さらに天候に左右される活動となるので、保育者さんたちの気苦労が多いようです。
平坦な園庭に写真のような遊具が設置されていて、園庭の端っこに道路沿いのフェンスに沿って細長い幅の花壇や園舎の南側に小さな畑も設けられていますが、保育者さんの目が届かないなど課題が多い保育園です。
当初は砂場近くに直径1.5メートルの築山をご希望でしたが、狭い園庭内ですので、丸太の遊具を設置しました。高さの低い丸太2個と高めの丸太2個そして斜めに設置した2個の丸太で構成し、バランス感覚を育み、左右から園児が歩いてきてじゃんけんで進み・戻りする競争的な遊びも可能になりました。写真に示します様に丸太遊具の真ん中にはモミの木も植えています。さらに砂場の近くにもモミの木を植えて緑のつながりを設け、園庭南側や園庭西側にもユキヤナギ、ミツバツツジ、サザンカ、イロハモミジ、コナラなどを植樹し、緑豊かな園庭に生まれ変わりました。
季節ごとに葉や花の変化を楽しみ、色ミズづくりや段ボールの額縁をつくって葉っぱのグラデーションによる「季節の絵」ができますね。さらにどんぐりの遊具もつくることが可能で、丸太遊具の真ん中のモミの木の定点観測による「園庭の四季」「園庭のいろどり」など「小さな絵本」や「まんまぴあものがたり」が生まれてくるのではないでしょうか。
一方、園庭東側には花壇と菜園を設け、さらに0歳児保育室前にはスロープ花壇を設けました。何もない園庭の時は園児の視野に入ってくるのは走り去る車の姿だったと思いますが、四季折々に自然の変化を楽しみ、0歳児の園児さんの目に入り易いようにスロープ型の花壇にしているので、それぞれの年齢層の園児さんが遊びながら楽しむことができるようになりました。
保育者さんも園児からの質問に応えるべく植栽の木々の変化を調べ、一緒に楽しみ、また多様な会話が活発化していくことでしょう。木々や花壇や菜園の植物を楽しむためにも図書コーナーに絵本をそろえたり、図鑑を用意しておくことも必要ですね。
さらにお迎えの保護者に園児さんが園庭で楽しんだことを報告することによって「言葉」を獲得し、コミュニケーション能力の向上が期待できる園庭となりました。